新役員のごあいさつ
会長 中村富由彦
クラブに期待するものというのは、確かに長くいるうちに変ってくるもので、好きなミステリの話がきけるならと、入ったつもりがいつしかクラブ内のいろいろなおもしろい個性をもった人たちといろいろなことを話したり話されたりして、時にいたく感銘を受けることがあり、時に反感を抱くこともあり、そんな繰り返しのうちに、自分がだんだん人間的に変わっていく様を眺めるのが楽しくなる。クラブは大げさに言うと社会の縮図で、これだけの人がいると、人間関係の紡ぎ出すドラマはかなり壮絶で、執行部はなかなかそれに冷静に対処することができずにドラマに巻き込まれてしまう。みんながみんな、そのことで悩み始めると、クラブとは一体何だろうという疑念が浮かぶのだけれど、この頃の自分にとっては、そういうことでのたうちまわるのが、会長はじめ執行部はじめ会員のような気がしてきている。みんなでなかよくやりたい、と、最近はそのことしか考えられないのだけれど、みんながいじめっ子やいじめられっ子にならないように、冷静沈着な態度でいつも事に当れるように、自分に言い聞かせています。ミステリー・SFの本当の楽しみはそれからです。