クノッソス
クレタ島のクレタ文明(ミノア文明)の宮殿遺跡の所在地。クレタ島は古代において豊富な森林資源に恵まれており、森林資源を求めた中王国時代のエジプトとの接触と交易から前2000年頃より都市文明が成立したと考えられる。木材は輸出品の他、船の建築資材としても重要であり、船を建造したクレタ文明はその地理上の優位性も生かして東地中海交易に重要な役割を演じた。クノッソスはイギリスのエヴァンズによって1900年以降発掘が進み、ギリシア神話の半牛半人の怪物ミノタウロス伝説の舞台となったラビリントス<迷宮>に比定される宮殿遺跡が出土したが、壁画のモチーフにはイルカなどの海洋性動物も描かれ、海洋文明としての性格が推定できる。また、遺跡の特徴としては権威主義的な城門や城壁や堡塁などの防御施設をほとんど持たないことがあげられる。ギリシア本土にギリシア系アカイア人が南下し、ミケーネ文明が成立すると、やがてその支配下に置かれ、衰退した。
エジプトの神聖文字の影響を受けたと考えられる絵文字や線文字Aが出土しているが、民族系統が不明なため未解読のままである。