2006年第2回  退屈の虫よりマンガの虫、野球の虫は31匹

』4 いわさわ正泰(秋田書店)




 野球というボール・ゲームの存在を禁止された少年の自己発見の物語。とか書くと、それっぽいですか? 日本で野球を知らない子供ってどれくらいいるのかな。
ダメっ子が実はものすごい才能の持ち主、というのは少年マンガのひとつの典型であるけれど、典型であるだけに描くのが難しいよなあと思わせる作品。
脇役に魅力がないのが致命的。義理の両親もちゃんと描きましょう。
評点……4.5


』1 (秋田書店)


 なにはともあれ、のJリーグ入り、おめでとうございます(>大家さんも)。この時期、サッカーマンガを描かないわけにはいきませんよね、能田先生。
著者にしては珍しくゆっくりストーリーを展開させている感じがする。まだ何も始まっていないので、次巻に期待というところなのか。でも、1巻で始まってなくて、2巻で始まるという保証はどこにあるの?
評点……5.0



』2 (エンターブレイン)


 フィクションとノンフィクションの間(あわい)に生きるマンガ家の最新作。
お手軽エッセイ・マンガが流行してるけど、このひととの身の削り方は半端じゃないなあ。みんな、ツメの垢でも煎じて飲ませてもらいなさい(とくに倉田某
)。
玉吉先生は、今回、盲腸をこじらせて文字通り身を削って、というより命削るところだったらしいです。
伊豆山中での一人暮らしに、淋しいかもしれないけど憧れてしまったりしませんか? そんなこと考えるのは、おっちゃんの現実逃避ですか? どちらにしろ、わたしはペーパー・ドライバーなので伊豆には住めませんけどね。
評点……6.5



』5 (講談社)

 
「カイジ」、だんだんツライです。小学館で連載している『』の影響が出ているのか、今回のカイジはかっこわるいなあ。
」でないことは重々承知の上なのだが、福本マンガの特長である、それこそ息をのむというような緊張感に欠けているのよ。
勝負の相手方の正体が判然としないからか。相手の仕掛けがあるなかでの、それに対するカイジの闘いという、いつもの図式に則っていないせいなのか。
相手にしてやられるカイジはいいけど、自分のミスに右往左往するのは「カイジ」じゃないでしょ?
評点……5.0



』1 (講談社)




 末次由紀なき後、講談社が別フレの看板作家にしようとしている作家。絵がまだ不安定なのは若さかな。
自宅が下宿屋になった女の子が主人公。当然、そこには同級生の男の子が入居してくるし、彼氏(学校の先輩)にその男の子とのことを誤解されるし、いろいろとてんこ盛りです。でも、ラヴ・コメじゃないんだな。
上記の下宿人の彼女が、かわいいけど(から?)同性から嫌われているという同級生で、この子がキー・パーソンみたいです。
』(講談社)みたいにはならんよね
評点……5.0

』14 (講談社)

 

高値安定。というか、いまだに新刊が出るたび部数が増える。誰もが驚く大ヒット作。
去年の総括でも触れたが、メディア・ミックス無しで、少女マンガにカテゴライズ(?)されるマンガが、今ここまで売れるのは稀なこと。
』(集英社)の大爆発に隠れてるけど、エンターティメントとしては凄く優秀なので、いちど読んでみてください。
老若男女、安心して楽しめるのがいいのかな?
評点……6.5



』15 川原正敏(講談社)

 

本編を描けないので、外伝ばかり増えていく。
宮本武蔵や坂本龍馬、沖田総司といった人物と比較すると、申し訳ないが、ではパッとせんね。偏見かな?
前者は歴史上の人物だけど、後者(西郷四郎なんかもそうだけど)にそこまでの一般性はない。実在した人物をとりあげる際に大事なのは、その人物を読者にいかに身近に感じさせるかということだと思うのだが、そこの描き込みが足りないような気がする。
評点……5.0


』35・36 李學仁/(講談社)

 

とうとう終わりましたね。三国志の印象が、これで変わったひともいるのでは?
 というか、日本人の三国志好きは何でですかね? メディア・ファクトリーなる出版社は、まるごと三国志マンガの雑誌を発行してるし、どうしてそんなにひとの国の歴史に盛り上がるのでしょう?
それはともかく、35、36巻はいかにもクライマックス、見事に完結です。
評点……6.0

』13 (講談社)
 

精神科編、最終巻。
 常に最後の着地点が難しいマンガだが、今回はこれまでになく苦労したではないだろうか?登場人物各自が前向きな姿勢を見せることで、とりあえずの終幕を迎えたのだが、精神医療に正解を見出せない以上、このマンガで描かれたのは、今回の患者についてはこのような結末になったということだけであって、何かの答えが提出されたわけではない。
「病気」というのが、解決されるのではなく解消されるだけにすぎないものだとするなら、それはやむを得ないことであって、それ以上のことを求めてはいけない。
「病気」という言葉に語弊がありますか?
評点……6.0
   

』4・5 (講談社)


 5巻で終わるとは思わなかったな。古い映画ポスター風の表紙カヴァーも好きだったのに残念。三四郎には早くリングに戻ってきてもらいたい。チャイニーズ・マフィア(?)相手に闘っている場合ではないだろう。
評点……5.0


』5 (講談社)

 
だめですかねえ、ちょっと不思議な物の怪話。大上段に構えていない分、好感が持てて、いいんだけどなあ。
』があれだけ売れるなら、これももう少し売れて欲しいよ。絵もこちらのほうがしっかりしてるのに……。
印象が軽いのでしょうか?
評点……6.0
   
』1 河田雄志/行徒(ジャイブ)
 

ゴージャスな絵でギャグというのは、駒井悠とか、にざかな(解散しちゃったけど)がいるけど、その流れにある“おばか”マンガ。
意外に売れてます。
「コミックラッシュ」というファンタジー系マンガ雑誌に連載されているのだが、このマンガは読者アンケートで1位になったこともあるとか。それはそれでどうなのよ?。
新人さんなのですべっちゃうギャグもあるけど、がんばってくれ。だじゃれで逃げ込もうとした、にざかなよりは志を高く持って欲しい。
評点……5.0


』17 /(集英社)
 

あの複雑極まりないアメリカン・フットボールをマンガ化するにあたって、ひとつのプレイに焦点をあてながらストーリーを進めていくという手法は大正解。ライン、QB、RB、WR、(キッカーも)、といった各ポジションにひとりずつ重要なキャラを配置と、考えてみれば基本的なやり方なんだけど、うまく整理、料理して読者に提供している。まあ、結果論だけどね。
ヒル魔の存在感の勝利かな?
評点……6.0

』4 (集英社)
 


魔人が探偵なのだから、ひとなみの謎解きをするはずがない。が、犯人がいかにしてその毒薬を手に入れたのか、どうやってその爆弾の知識を得たのかなど、謎解きされない事柄が多すぎないか?
手抜き工事された土台の上に建物を造るようなマネはやめてね。
評点……4.5



』13 (集英社)



 いや、まあ、べつに言うことはないな。民明書房の存在価値がインフレ化してる。
評点……4.0

』2 (集英社)
 
下ネタ四コマの女王の新作。ヤングマガジン連載ということもあってか、から発行されているマンガよりは遠慮気味。
耳年増の妄想マニア処女のボケぶりをおたのしみください。
評点5.0

』2 (集英社)
 
タイトルのわりに、『』(←すごいタイトル)のようなサスペンスに欠ける。必然性に欠けるといってもいい。ストーリーの意外性に気を配るばかりで、なんか薄っぺらな感じ。
好きな作家なんだけどなあ。
評点……5.5

』6 (白泉社)

 
女装マニアのナルシストって、どうよ? しかも悩むのが好き。
 『オカマ白書』や『』(ともに小学館)あたりと比較してみると、他者性(なつかしい用語だ)に欠けるので悩みが円環構造にはまっている。
自我の球体(これもなつかしいな)ってやつ?
描線がやわらかすぎて読みにくい。
評点……4.5


』 (白泉社)
 
連載は茨城の就職情報誌。それが全国発売ですよ。
 ワンワンちゃんは毎回いろんな仕事について働いているけど、なかなかうまくいきません。がんばれ?!
評点……5.0


』14 (新潮社)
 
それよりもなによりも、が小学館から出たのが驚き。なにか大人の事情があったのでしょうか。何年かまえに徳間書店から廉価版も出てたけど、版権はどうなっているのでしょうか?
阿部寛のふきかえでになるというし、いまさらのように『北斗の拳』祭が……。
評点……5.5