アングル(1780-1867)
ダヴィドのアトリエに学び、古典主義絵画の代表者、伝統の守護者として18歳年下のロマン派のドラクロワの好敵手とみなされた。ドラクロワが彼の絵を「不完全な知性の完壁な表現」と評すると、彼の方は展示会場にやってきたドラクロワに対して「糞の臭いがする」とやり返したというエピソードが伝わっている。理想的な美を表現するためには、あえて不自然な形に人体を歪曲して表現することもし、批判者からは「甲状線障害の人物画」と批判された。代表作「グランド・オダリスク」にいたっては女性の背中の曲線の美しさを強調して異様に長く背中を描いたため「余計な椎骨が3本もある」と評されている。また、エロテイックな…というより、「すけべな」と言った方がわかりやすい絵が多いことも特徴でなかでもきわめつけの「トルコ風呂」はなんと80歳過ぎの作品である。