ディケンズ(1812-1870)
フランス革命時のパリとロンドンを描いた歴史小説『二都物語』を著した、イギリスの写実主義文学を代表する作家。裕福な家庭に生まれ幸福な少年時代をおくりながら、父が負債不払いで投獄されたため、突如工場の徒弟として働かなければならなくなるという運命に陥る。そのためか、彼の小説はイギリスの中下流階層に暖かな目を注ぎ、ユーモアを持って社会を風刺する作風である。他の作品に孤児院に生まれ、ロンドンの悪の世界に引き込まれそうになる少年オリヴァーを描いた『オリヴァー=トゥイス卜』、自身の少年時代を投影した『デヴィッド=コッパフィールド』、守銭奴スクルージがクリスマスの夜に幽霊に諭されて更生する『クリスマスカロル』がある。