イプセン(1868-1906)
ノルウェーの自然主義作家で代表作は戯曲『人形の家』この作品は一人の人間として自立して生きたいと、夫と子供を捨てて家出するノラという女性を描き出して、世界各地の婦人解放運動に火をつけたことでも有名。日本でも不倫騒動で世を騒がせた島村抱月と松井須磨子のコンビで上演され、「ノラ」は「新しい女」の代名詞となった。もっとも教養も手に職もなく、甘やかされて育った女性が当時の閉鎖的社会に飛び出しても、のたれ死にするか愛人として生きるか売春婦となるかしかないじゃないか、との批判をどこかで読んで、なるほどそれはそうだと思った覚えがある。