2006年第6回 3月のマンガには、三言くらい
『』31巻(秋田書店)
対アライJr.戦。闘うごとに、敗れるごとに、更なる成長をみせるアライJr.と、牙刃はいったいどう闘うのか。と、期待していたら、なんとまあ、あっけないことか。すでに、牙刃はアライJr.あたりとは異なるステージに昇ってしまっているということなんでしょうかねえ。
『バキ』のシリーズは、中国編もそうだったけど、竜頭蛇尾というか、尻切れトンボというか、ぴりっとしない終わり方ばかりで残念です。最終編『範馬牙刃』では、そのようなことのないよう、史上最強の父子げんかの決着を!
評点……4.5
『16巻(秋田書店)佐渡川準
まさに、週刊少年マンガって感じ。これが、「ジャンプ」とかで連載していたら、もっとはやくもあったろうに。とは、少し買いかぶりすぎか?
ときおり、無理にオチをつけようとして、なのかどうかは分からないが、残りの数頁でどたばたするのが玉にキズ。
評点……5.5
『』2巻(秋田書店)山内雪奈生/板垣恵介
「バキ」の外伝。絵が板垣先生によう似てるんですわ、これが。さすがアシスタント出身。ちょっと品はないけど。
ホオジロザメをも打ち倒す、花山薫が主人公。ここまで、花山がどれくらい凄いヤツかという、きわめて大げさで馬鹿馬鹿しいエピソードしか描かれていないので(それはそれで愉快ですけどね)、ほんとうに面白いものになるかどうかは、不明です。
評点……4.0
『10巻(角川書店)/
マンガは、まだまだ続いています。こちらは、貞本版ということで、庵野版(TVや劇場版)とは違う扱いになっているようです。
ある程度評価が定まってしまっている作品を描き続けることに、苦痛は感じないのでしょうか? 連載は不定期で、いつ、どう終わるかはわかりません。角川的には、もう少し「エヴァ」で商売したいでしょうな。もしかすると、10年後も描いているかも。
まあ、どうでもいいんだけどね。
評点……5.0
『』14巻(講談社)
これは、もっとどうでもいいね。
週刊連載というのは、往々にして後出しジャンケンみたいな展開になりがちなのだが、ここまで臆面もなく徹底してると、逆に感心しないこともないな。でも、これをストーリーテリングといってはいけない。
評点……3.5
『』3巻(講談社)/
同じコンビの『バジリスク』に較べると、話の発端が悲惨であるにもかかわらず明るい印象があるのは、柳生十兵衛という存在による。たとえば、同じ剣豪でも、十兵衛に宮本武蔵のような陰気な求道者というイメージ(井上雄彦は、このイメージと闘っているが)はない。父親の宗矩を策略家として対比させて、十兵衛の爽快さを強調する方法もよく使われるが、この陽気な十兵衛像は、いったいいつどのように成立したのか?
ちなみに、Vシネマ「柳生忍法帖」には、まだブレイク前の(というプロレスラーですよ)が会津七本槍の一人として出演しています。
評点……5.5
『』巻(講談社)
最近の講談社コミックスは、戦国時代を舞台にしたマンガが多いですな。仙石秀久というマイナーな武将にスポットを当てたのは面白いと思うが、著者が自慢するほど、作中で語られる真説に驚きはない。というか、だからどうした? というところか。
家康が登場時にくらべて、どんどん情けないやつになっているような気がする。
評点……5.5
『!』8巻(講談社)
新しく乗りかえようとした男が、今つきあっているカレの忘れ物を気に入ってしまう話が面白かった。あと「最驚」かな?
チー(『チーズ・スイート・ホーム』)もゲスト出演。当初よりも甘い話が多くなってきたけど、まあ、みんなでほのぼのしてね。
作品の出来のわりに売れ行きはいま一つで残念。
と、思っていたら、手塚治虫文化賞受賞ですよ!(※『ピータン』は短編賞。大賞は吾妻ひでお『失踪日記』)
評点……6.0
『』75巻(講談社)
宮田くんと試合ができるのか、というだけで、ここまで引っぱってくるのは作者の力量なのだろうが、主人公の試合がこんなに長い間描かれないマンガも、ちと珍しい。間柴・沢村戦が凄いことになってしまったので、ちょっとブレイク・タイムか?
サブ・キャラがいい味だしているので、作者としても、あれやこれやいろんなことを描きたくなるのだろうなあ。と、思っていたら、千堂の後輩に、またおかしなヤツが……。
評点……6.0
『』3巻(講談社)
基本的には『』(小学館)と何も変わっていない。思いこみの激しい主人公と、ちょっと(かなり)おかしな周囲の人々。時事ネタ・ギャグも箇条書き。コミックスを見ただけでは、版元がかわったことに誰も気付かないのではないか。
いまのところ、作者のテンションも高そうなので大丈夫みたいだが、いつまた「改蔵」の最終回みたいなことが起きるのではと、けっこうドキドキしてる。
評点6.0
『』上・下巻(講談社)/天樹征丸
悲しき復讐劇というワン・パターン。アリバイ・トリックも、どこかで見たことのあるようなもの。そもそも、そんな大量のドライアイスをどうやって準備したのよ。
二度あることは三度ある、というよりも、仏の顔も三度まで。
評点……4.5
『』巻(講談社)
とても新人とは思えない絵の安定感。
ペットではなく、餌付けしてる野生の鳥、というところがミソ。鳥たちと距離感があるので、うちのかわいいペットを見て、とはならない。鳥とは全く関係ないエピソードが面白かったりするのは、ご愛敬。
評点……5.5
『』5巻(講談社)
東山主演のはどうだったのでしょう? 原作にないキャスティングがあったりして、作者の気持ちは複雑だったようですが。個人的には、より、姉ののほうが好き。
マンガは、一つひとつの話はおもしろくても、単行本としてまとめてみると物足りないのです。
評点……4.5
『』巻(講談社)
・新生賞ですか。
部員全員が一年生とか監督が女性とかいうのは、特に珍しいことではない(例えば、竜崎遼児『』)。いわゆる女房役の捕手が攻めで、お山の大将のはずの投手が受けという図式が、一部の女性読者を掴んだのは事実。
七三太朗&川三番地コンビ以来、野球マンガが理屈っぽくなっているが、このマンガもその系統に入る。すごく丁寧に野球を描いているのが、功を奏している。
評点……5.5
『』3巻(講談社)
初っぱなの「特殊活動クラブ」ネタは最高! ビバ、「ボーイズラ部」。あーんど、「触手」。
作中人物が言い訳しているようにマンガや特撮もののパロディなので、元ネタを知っているかどうかも重要なのだが、だんだんそんなことはどうでも良くなっていくのが、このマンガの凄いところ。適度に品がないところも好印象(?)
でも、一般人にはつらいだろうなあ。特殊なひと向けマンガ。
評点……7.0
『』1巻(講談社)
魔女っ娘と特撮もののパロディ・マンガ、のようなもの。下品にならないように抑えながらもついつい出てしまう下ネタのキレがイマイチ。
どうもきちんとしたストーリーがあるらしいのだが、どこまで「ばくはつ」を我慢できるのか。突き抜けないべるのに明日はない。
評点……5.5
『』巻(集英社)
明らかに昔のマンガなのだが、それが適度な緩さになっている。悪く言えば、緊張感に欠ける。かたき役に魅力がないのも大欠点。
それなりに売れているのはのおかげか?
評点……5.0
『』(集英社)
の生涯、ということなのだが、まるで著者のオリジナルのようだ。高橋由佳利の描く女性というのは、美人で気が強くて行動力も抜群だが、おっちょこちょいで人がいいのが共通点。晶子も、そうだったのでしょうか?
鉄幹の現代における評価が芳しくないのは、晶子のせいでも、まして高橋由佳利のせいでもない。
評点……5.0
『』巻(小学館)
実力のあるマンガ家が描くと、ここまでオリジナルと闘えるという証明。
おおまかなストーリーは知っているはずなのに、次の展開の予想がつかず、常にハラハラドキドキしてしまう。「鉄腕アトム」が、こういう形で再発見されるとは思いもしなかった。『』もまもなく終わるそうなので、あとは、これ一本に集中か?
ガードの堅い手塚プロ、というか手塚真を軽く一蹴。
評点……6.5
『』2巻(新書館)
出版業界ネタ、というか、もっとちいさい書店ネタなので、すぐに行き詰まることだろう。作者に、さほどの実力があるわけではなく、ネタの面白さで辛うじて続いているだけ。
マンガが好きなひとは、出版業界も好きなのですか?
評点……4.5
『』巻(スクウェア・エニックス)荒川弘
真実の扉が実体として存在していることに違和感を覚える。見えざるものの視覚化は、マンガの特権であるのだが、岡田斗司夫が「よくできたジュブナイル」と言ったように、その限界でもあるような気がする。
ストーリーの展開に困るとギャグに走ったり場面転換するという逃げがなくなったのは、成長の証か?
評点……6.0
『』5巻(竹書房)
本来非日常的行為であるはずの読書を、日常的行為と錯覚させてしまう作家。
先輩(♀)と後輩(♂)のカップルなのに、お互いの実家を一週ごとに行き来するという変な新婚生活なのに、そこにあるべき、とまどいがない。とまどいは、非日常性のしるしだが、このマンガには存在しないのだ。
評点……5.0
『』2巻(竹書房)
このわたしのかわいいまんまるなねこを見て〜〜〜〜〜〜、というだけのマンガ。
動物を飼っている人はみんないい人という幻想に基づいて描かれているので、そうじゃない人には辛いかも。おやじと弟が情けない。これで癒されるのですか?
それにしても、猫マンガ、流行ってますね。
評点……5.0
『』1巻(早川書房)
『』(早川書房)でデヴューし、一部のマンガ読みの絶大な支持を受けている作家の描き下ろし新作。
絵は三頭身でかわいい感じがするのだが、意外にシュールな作品が多い。意外、というよりも、意図的?
今回は、自分のために、はじめからすべてをゆるしているという少女が主人公。
「すべてをゆるしている」ということは、すべての出来事をありのまま受け入れるということで、それは、つまり絶望しているということだ。絶望しているからこそ、もう一人の自分がいたりしても、その事態を受け入れるし、もう一人の自分たちと闘っている組織から勧誘されれば、そこに加入し、もう一人の自分を殺すことができる。
しかし、「絶望」の先には、なにもないのだ。
評点……5.5
『』1巻(芳文社)
このマンガは4コマである必要性があるのか? 連載が4コマ誌だから4コマになっているだけなのではないか?
どこかダークで不可思議な感じというイメージの安売りは、すぐにでも止めていただきたい。ひどくつまらないRPGをやらされているようで、不愉快である。
『ぼのぼの』(竹書房)にはなれないね。
評点……4.5
『』(リイド社)
明らかに、連載途中で打ちきられマンガ。
行き当たりばったりのストーリー展開を、なんとか誤魔化そうとしているのがミエミエである。『もやしもん』では、完全にひらきなおってるのに。まだ、若書きだったということか。
石川ファン以外は読まなくともよいです。
評点……5.0