カント(1724-1804)

近代最高の哲学者と言われるドイツの哲学者。『純粋理性批刊』『実践理性批判』『判断力批判』などの著作で批判哲学と称される哲学説をうちたて、イギリス経験論大陸合理論を統合してドイツ観念論哲学を創始。北ドイツプロイセンのケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)で皮具匠の息子として生まれ、故郷ケーニヒスベルクの大学に勤める。身長1メートル50そこそこ、頭だけ大きく、筋骨薄弱で虚弱体質であったが、「時計のように正確な」規則正しい生活を送り、80歳まで長命。最後の言葉「エス・イス卜・グー卜 Es  ist gut」が「すべてよし」という大哲学者最後の言葉として有名になる。but しかし実は彼は晩年はただやたらにパンとチーズをむさぼり喰うだけで、親しい人の名を忘れ、アルファベッ卜も忘れ、自分の名さえ書けない惚け老人になってしまっていたのである。「エス・イス卜・グー卜」、英語で表現すれば「It is good」。これは最後にぶどう酒をスプーンで飲ませてもらって言った言葉。賢明な君たちにはどう訳せばいいか、わかるね。そう、これは、日本語ではただ単に「うまい」と訳すんである。『偉人』がなぜ偉いかといえ ば、われわれと同じく人間的な弱みと宿命を持ちながら、それでもそれを越えて何事かをなしとげたからであって、『偉人』といえばあらゆる面 ですごい、というように祭り上げてしまうのは、かえってその人をおとしめ、翻って自己の努力のなさを誤魔化す行為であると考える者であるぞ、私は。