ノヴァーリス(1772-1801)
18C末に発生し、19C前半に主流となったロマン主義の文芸思潮を代表するドイツの詩人。代表作は『青い花』。22歳の時、13歳の少女ゾフィーと運命的な恋愛をして婚約するも、翌年ゾフィーは結核にかかり16歳で死ぬ 。彼のロマン詩はこのゾフィーとの哀切な恋愛をモティーフにしたものである。自身も29歳で肺を病んで死ぬ 。ところでロマン主義の時代は結核の時代であり、“肺を病んだいたいけな美少女”との純愛が大はやりした。青い顔をしてゴホンゴホンやるのが“かっこいい”ことだったのである。明治日本はもろにこの影響を受けていて小説の薄幸のヒロインは必ず結核で死んだ。青春柔道小説の大傑作『姿三四郎』でも、物語の最後に、何の必然性もないのにヒロインの乙美さんは結核で死ぬんである。そういう意味では、彼の人生そのものが時代の雰囲気に大きな影響を与えている。ところで現代の時代的病気と言えば白血病とエイズ。サッカー漫画『シュート』では天才久保嘉晴(映画化に際しては木村拓弥が演じたような記憶が)は白血病で死に、「私を抱いてそしてキスして」や「フィラデルフィア」といった映画ではエイズがテーマとなっている