ヴェルギリウス(前70-前19)
ラテン文学黄金時代のローマ最大の詩人。アウグストゥス帝による平和回復の喜びと愛国の情熱を、ローマ建国の叙事詩にしてラテン詩の最高傑作といわれる『アエネイス』に歌った。この叙事詩はローマの建国者をトロヤの英雄アエネイスとし、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』を下敷きにしたものであるが、ホメロスに遠く及ばず、ついに未完のままで死に臨み、焼却せよと遺言したのを、アウグストゥス帝の命によってその死後公開されたものである。温厚で内気な性格からパルテニアス(処女のような人)とあだなされ、生涯を独身で過ごす。もっとも独身だったのは、プラトンと同じく少年愛の人であったからで、自分の愛する美少年によせる詩も残っている。しかも痔で悩んでいたとも伝えられるから、悪く想像するとちょっと怖いも
のがある。ホモは死刑のはずの中世ヨーロッパでなぜかキリス卜教の聖人に祭り上げられ、ルネサンスの先駆けを告げるダンテの『神曲』では、ダンテに地獄界・浄罪界を案内する導師として描かれた。
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