アベラール(1079-1142)

盲目的信仰をしりぞけ、理性が信仰に優先するとし、神や善などの普遍的とされる概念も、実は人間が名づけて初めて、神や善として理解されるのであるとする唯名論に理解を示して普遍論争の一方の旗頭となる。また尼僧エロイーズとの恋愛事件でも有名で、そのいきさつを書いた「わが不幸の物語」はヨーロッパ中でもてはやされ彼の人気を不動のものとするとともに、彼の勤めるパリ大学には彼を慕ってヨーロッパ中から優秀な学生が集まり、今に至るヨーロッパの名門大学の地位 を確立した。もっとも、エロイーズとの恋愛事件では、スキャンダルを憎むエロイーズの親族がやとった暴漢に襲われ、不能とされてしまっている。清らかである筈の聖職者もなかなか大変である。