中国とは世界の「中」心の「国」という意味であり,中国皇帝の「天子」という称号は,天の代理人としてこの世の全てを支配する者という意味がある。実際にユーラシア大陸の東方において,文明の中心であり続けたのが,中国であり,東アジア地域には中国を中心とする冊封体制という国際体制が成立するのである。また,その国家体制は秦の始皇帝によって採用された中央集権と官僚統治システムが,基本的には最後の王朝の清まで継承されている。
しかし中国の歴史を検討してみると,殷周帝国の時代,秦漢帝国の時代,隋唐帝国の時代,宋元帝国の時代,明清帝国の時代といった安定と繁栄の時代と,その狭間の春秋戦国時代,魏晋南北朝時代,五代十国時代のような内乱と異民族侵入の混乱の時代が存在することがわかる。そしてこの混乱の時代に,中国の社会は大きく変化しているのである。
この章では,各王朝の特徴や周辺地域との関係,そして中国社会の変化について学んでいこう。