出題年:02年
出題校:早稲田大学法
問題文
今日の国際社会は,主権を有する国家を基本的な単位として構成されている。そのような主権国家が歴史上最初に成長したのはヨーロッパ地域であるが,現代のような状況が形成されるまでには,長期に渡る歴史的経緯がある。
ヨーロッパにおける,中世から現代までの国家の変容について,各時代の国家の特徴に留意しながら,下に示した語句を少なくとも一度は用いて,250字以内で述べよ。なお,使用した語句には必ず下線を付せ。句読点,数字,括弧(カッコ)は1字に数えるものとする。
ローマ教皇 領主裁判権 絶対主義国家 「ドイツ国民に告ぐ」 国民国家 EU
解答例
中世はローマ教皇と皇帝を中心とするキリスト教共同体で,領主裁判権を持つ諸侯は王権から自立していた。近世は諸侯や教会など各種社団が王権の統制下に置かれる絶対主義国家が形成され,教皇権や皇帝権は没落して主権国家体制が成立した。近代では個人と国家が直結する国民国家の形成が目指され,フィヒテの「ドイツ国民に告ぐ」を機に国家の基盤を民族に求める民族主義が台頭した。現代では国民国家が衝突した第一次・第二次世界大戦の惨禍から,国家の枠を越えたヨーロッパ連邦的な統合が指向され,ECを経てEUが成立した。