出題年:01年
出題校:千葉大
問題文
以下の語句を用い,ヨーロッパ絶対主義について国家形態と経済政策の関連性に留意しつつ論じなさい。なお,語句には最初に用いたときに下線を付すこと。
官僚 常備軍 重商主義 重金主義 貿易差額主義
解答例
絶対主義は,皇帝権と教皇権が没落し,領域を持った国家が分立する主権国家体制が形成される政治状況下で,王権神授説で国王の主権を正当化し,分権的であった中世以来の諸団体を王権の統制下に置く社団国家の体制である。諸団体と固有の身分制は存続し,その構成員を直接国民として掌握するにはいたらなかったが,王直属の常備軍を備え,徴税・行政・司法権を掌握して官僚制度を整備し,中央集権下を図った。そのために多額の貨幣を必要とし,重商主義の経済政策を行った。初期には貴金属の直接的獲得を目指す重金主義であったが,植民地を獲得して市場とし、国内の輸出産業を振興して貨幣の蓄積を目指す貿易差額主義へ発展した。