ボードレール(1821-1867)
退廃の美を漂わせた詩集『悪の華』で有名なフランス耽美主義の詩人。アメリカの異端の作家エドガー=アラン=ポーの紹介者としても知られている。21歳で亡父の莫大な遺産を相続し、わずか2年でそれを使い果たし、以後は一生借金潰けの生活をおくった。苦境を脱するため1857年に出版された『悪の華』はごくごく少数の識者の評価しか得られなかったばかりか、公序良俗に反するとされて罰金刑に処されてしまい、更なる苦境に彼を追い込んでいる。世紀末になって象徴主義の詩人から先駆者として評価されたが、その名声の確立には死後50年を要した。