スウィフト(1667-1745)
アイルランドに生まれ、聖職者となる。しかし政治に関心を抱いてイギリスにわたり、政界、文壇界の黒幕的存在となり、鋭い論評で恐れられた。アイルランドに帰って人嫌いの傾向に拍車をかけながら50代で『ガリヴァー旅行記』を著す。この作品は大人国と小人国のくだりが子供向けに紹介され、ユーモラスなお伽話といったイメージがありますが、本当は当時のイギリス社会批判のみならず、人間に対しても根本的な意義申し立てをおこなった、非常にハードな作品です。最後の馬の国では、馬が万物の霊長で最も優れた生物、人間はヤプーと呼ばれて最も卑しむべき生物として描かれていたりする。で、人間嫌いの彼は1730年代より精神錯乱の傾向を示すようになり、75歳にして痴呆状態となって77歳の時「阿呆だ俺は」という一言を最後に言葉を失って翌年死去。二人恋人がいたものの「正常な関係」ではなかったことが、知られている…と。