『ORENGE』12巻(能田達規)
Jリーグや「サカつく」に興味のない人には無縁のマンガも、いよいよ佳境に。
いま日本のマンガ界を牽引しているのは、井上雄彦だったり士郎正宗だったり、CLAMP大先生だったりするわけだが、実は、能田達規クラスの中堅作家の豊富さが日本マンガ界を支えていたりするのだよ。(評点5.5)
『シグルイ』1巻(山口貴由/南條範夫)
リイド社あたりの劇画調時代劇マンガの成功に加えて、『無限の住人』など、講談社のヒットに安心したのか、時代劇マンガが確実に増えてきている。
エグい描写をのぞくと、『バキ』+『バジリスク』って感じ? いまはいいけど、ずうっとこの調子で続くと辛いかも。(評点5.0)
《講談社》
『彼岸島』5巻(松本光司)
巻数を追うごとに一本調子でキツくなっている。ホラーっていっても全然怖くないし、アクションにしては緩いし、『ゾンビ屋れい子』くらいの開き直りがほしいものだ。
ほんとに10巻以上―という予定らしいです―続くの?(評点3.5)
『バジリスク』3巻(せがわまさき/山田風太郎)
勝手にあらぬ世界へ行ってしまう石川賢と違って(それはそれで楽しいのだけれど)、山田風太郎の面白さをあらためて感じさせてくれる作品。いいか悪いかは別にして、原作よりもまとまっているように感じるのは気のせい?(評点6.0)
『修羅の刻』14巻(川原正敏)
とうとうネタが尽きてきたかという印象。
「刻」シリーズ最低の出来だと思う。初期講道館の話をもっと描きこんでほしかった。
本編『修羅の門』再開を強く望む!(評点5.5)
『ドラゴン桜』2巻(三田紀房)
破天荒予備校教師マンガ?
一見、現在の教育・受験制度に批判的にみえるが、この作家は「甲子園」(『クロカン』等)「東大」といった幻想を無防備に前提にしてマンガを描いているので、かえって始末が悪い。重要なのは批判性ではなく、批評性だ。(評点4.0)
ところで、同じ仕事をしている大家さんはどうよ、これ?
《集英社》
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』138巻(秋本治)
上記した中堅作家の最高峰(?) って、デヴューして20年以上経ってるよ。けっして最前線の作家にはなりえないが、週刊連載の王道を歩んでいる。しぶとく人気を保っているのは、ラサール石井の執念のおかげか? 初期の毒気を忘れ、「サザエさん」(アニメ版)のようにならないことを祈る。(評点5.5)
『武装錬金』1巻(和月伸宏)
この作家は常にひとつ上のレヴェルを目指しているようなのだが、それがかえって息苦しさを感じさせてしまう。一所懸命なのはわかったから、それは自分の心のなかにしまっておいてね。(評点5.5)
『TOUGH』1巻(猿渡哲也)
『高校鉄拳伝タフ』の続編。外伝『OTON』もよろしく。
正直、続きがあるとは思わなかった。『タフ』の明るさがないのが残念。話の設定上しかたないんだけどねえ。(評点5.0)
『キャプテン翼ROAD TO 2002』12巻(高橋陽一)
日本サッカー界に多大な影響を与えた作品も、食傷気味。もう、いいよ、翼くん。
おつかれさま。(評点4.5)
『愛のアランフェス』2巻(槇村さとる)
復刊本です。スポ根少女マンガのひとつの頂。
個人的には『エースをねらえ!』より上ではないかと思っているのだが、同調者は少ない。(評点5.0)
《小学館》
『GS美神 極楽大作戦!!』14巻(椎名高志)
これも復刊本。連載当時、そろそろ人気が下り坂になるあたりの話。いま読むと、締切に追われて苦労してたのが丸わかりである。ちなみに昨年12月に出版された同著者の短編集『GSホームズ極楽大作戦』はバカ売れでした。(評点5.0)
『吼えろペン』10巻(島本和彦)
著者本人があとがきマンガで描いているように、恋愛ネタは照れがあるようで、イマイチ冴えがない。でも、今回の仮面編集ネタはおもしろかったよ。
日本一読むと元気になるマンガ。←これは褒めすぎ(評点6.0)
《双葉社》
『珍犬デュカスのミステリー』(坂田靖子)
いつどこでどこから読んでも坂田靖子。
すきなひとはすき。ものたりないひとにはものたりない。(評点5.0)
《芳文社》
『女クラのおきて』第1巻(師走冬子)
『私立T女子学園』(by竹田エリ)という同ジャンルの巨峰とは比較するべくもない、ゆる〜い4コマ。これが芳文社という土俵の限度なのか?(評点4.0)
《マッグガーデン》
『伊賀ずきん』1巻(たなかのか)
おのれの絵の拙さを利用した“くノ一”ギャグマンガ。師匠はただの棒線である。
こーゆーの受けつけないひとは多いだろうなあ。(評点4.5)
《メディアファクトリー》
『信長』8巻(池上遼一/工藤かずや)
池上版・信長、やっと全巻刊行。
おとなしくまとめてしまった。この二人でこの程度の作品とは、非常に残念である。
信長をいいひとに描きすぎ。(評点4.5)
了