スタンダール(1783-1842)
『赤と黒』『パルムの僧院』を著し、フランス写実主義文学の先駆的作家と言われる。ナポレオン軍に参加したナポレオンの崇拝者で『ナポレオン伝』でも有名。『赤と黒』の赤は軍服、黒は僧服を意味する。当時のフランスは階級社会であり、貧しい生まれの若者が成り上がろうとすれば軍人になるか僧侶になるかしかなかった。物語は貧しい生まれの美貌と才能に恵まれた青年が僧侶となり、町長の夫人と男爵の娘を誘惑して成り上がろうとして三角関係のもつれから破局を迎える様を描く。フランス復古王政の時代を鋭く批判した政治小説でもある。ジェラール=フィリップ主演で映画化もされているが、それ以上にこの筋だてと設定は応用がきく(主婦向けの昼メロなどでは何度でも使われている)ため、同工異曲の作品を後世多く生み出すことになった。