ゲーテ(1749-1832)
「ギョオテとはおれのことかとゲーテ言い」外国人の名を日本語に移す困難を語るときに必ず引用される言葉である。青年期に疾風怒涛(シュトルムウン卜ドランク)運動を推進し青春文学の傑作『若きウェルテルの悩み』を著して、主人公ウェルテルの作中のファッションが現実に大流行するような影響を与えた。ファッションの影響だけならよかったが、作中主人公が適わぬ恋に苦悩し、ついに自殺すると、同じように自殺する若者が相次いだ。このような現象をウェルテルシンドロームと言うらしい。後に疾風怒涛から成熟した古典主義の文学にむかい、悪魔メフィストフェレスとファウス卜博士の伝説に取材して、『ファウス卜』を著す。一方でワイマール公国の宰相になるなど政治家としても活躍。ドイツ文学史に巨大な足跡を残した。
フランス革命戦争のヴァルミーの戦いに遭遇して、「ここから、そしてこの日から世界史の新しい時代が始まる」と日記に記したエピソードも重要。