ヴォルテール(1694-1778)
フランスの啓蒙思想家。1734年、イギリスの制度や思想を紹介してフランスの現状を批判した『哲学書簡』で有名であるが、その他にも小説・詩・戯曲・評論などでも多才な才能を発揮。中国の朱子学を賞賛したことでも知られる。無神論者でカトリック教会を痛烈に批判し、いくどか投獄され、ついにフランスからの亡命を余儀なくされる。しかし国外においても旺盛な執筆活動を続け、プロイセンのフリードリヒ2世のサン=スーシ宮殿に一時滞在し、ロシアのエカチェリーナ2世とも文通して「ヨーロッパ最高の英知」との名声を確立。1777年83歳でついに婦国を許されてパリ市民の歓呼の中を王者のように凱旋した。しかし翌年の死にさいしてはあくまでカトリックを認めなかったため、パリに埋葬することが許されなかった。l3年後フランス革命の革命政府がルソーとともに国家の英雄としてパンテオンに埋葬しなおしたが、両者の遺骸はその23年後何者かによって盗み出され、今もって行方不明となっている。