ストリンドベリ(1849-1912)
『令嬢ユリエ(ジュリー)』『痴人の告白』『死の舞踏』などを著したスウェーデンの自然主義作家・戯曲家。船会社を営む父とその女中であった母の間に生まれる不幸な生い立ちの下で攻撃的・論争的な性格の持ち主となり、女性に対する極端な愛と極端な憎悪の間を揺れ動いて三度の結婚生活に破綻。精神分裂病の傾向があり、女性不信を描いたその傑作群も、精神分裂病特有の被害妄想、追跡妄想の産物と言われる。遺伝学や精神分析を作品に生かそうというのが、自然主義の主張の一つであるから、これは極めて皮肉な現象。