次の文章は,アメリカ合衆国大統領リンカンが1865年4月11日に行った演説の一部である。これを読んで下の問いに答えなさい。

従来奴隷州であり,合衆国への忠誠を誓い続けてきたルイジアナのおよそ1万2千人の有権者は,州の正しい政治的な勢力たらんとして,選挙を行い,自由州の政体を選択し,黒人にも白人にも公教育の平等の権利を与え,州議会に有色人種の参政権を授与する権利を認めた州政府を組織しました。彼らの州議会は,近頃連邦議会を通過したこの国から奴隷制度を全廃する憲法の修正条項を,既に批准しています。これらの1万2千の人々は,このように十分に合衆国と,その州における永久の自由の権利を認めています。この国が望む重要な事項,ほとんど全ての事項を認めています。そして彼らは,国家による承認と,彼らの公約遂行を成功させる国家の支援を求めているのです。

問 南北戦争後から19世紀末までのアメリカ合衆国内部の政治的・社会経済的状況を,次の語句を使って説明しなさい。(400字)

 黒人取締法 金ピカ時代 大陸横断鉄道



解答案

南北戦争後,南部が北部の市場となり,大陸横断鉄道で東部と結合した西部の開拓がインディアンを犠牲にしながらも進展し,南欧や東欧からも移民が流入したことで巨大な統一市場が成立した合衆国は,共和党の高関税政策で国内市場を独占した北部産業資本が急速に発展し,1880年代には世界最大の工業国となり,ロックフェラーのスタンダード石油など,トラストの独占も進展した。一方では,金権政治の腐敗や貧富の格差の拡大など,金ピカ時代の弊害に対し,アメリカ労働総同盟や人民党の結成など社会運動も発生し,反トラスト法も制定された。南部では大農園が解体され,中産階層が台頭した。憲法修正第13条で奴隷制は廃止されたが,黒人の多くはシェアクロッパー制のもとで白人地主に隷従した。また,クー=クラックス=クランなど黒人迫害団体が暗躍し,白人の政治独占が復活して,黒人取締法によって参政権や公教育の平等など黒人の権利は剥奪されていった。


採点基準案

市場統合(巨大な統一市場・北部中心の経済再編)(3点)
大陸横断鉄道で西部市場の結合(3点)
南部は北部の市場(2点)
西部開発はインディアンを犠牲(2点)
ホームステッド法で開発進展(2点)
西部農業の躍進(2点)
東欧や南欧からも移民流入(2点)


このブロックに配点12点


北部工業の発展(3点)
共和党高関税政策(3点)
トラストの独占進展(3点)
第二次産業革命の技術革新導入(2点)
1880年代に世界最大の工業国(2点)

ロックフェラーのスタンダード石油(2点)
モルガンのUSスティール(2点)
カーネギーの鉄鋼(2点)
*以上3つは配点は4点まで

このブロックに配点13点


金権政治,貧富の格差など金ピカ時代(3点)
反トラスト法制定(3点)
アメリカ労働総同盟結成(3点)
サミュエル=ゴンパーズ(1点)
人民党の結成(3点)
中西部と南部農民(1点)
フロンティアの消滅→帝国主義政策へ(2点)

このブロックに配点12点


南部の大農園解体(南部プランター没落)(2点)
中産階層台頭(2点)
憲法修正第13条で奴隷制廃止(3点)
再建法で黒人普通選挙法を義務(2点)
シェアクロッパー制の下で隷従(3点)
クークラックスクランの暗躍(2点)
黒人取締法で参政権など剥奪(3点)

このブロックに配点13点

以上で計50点