04年3月30日 うきうき
 明日から2泊3日で初沖縄。その準備で図書館に行って、沖縄関係のガイドブックを借りてきたり、あれこれ。

04年3月29日 新年度の予定 
 春期講習終了。今年度のレギュラー出講もほぼ固まる。
 月曜日は駒場校。卒生の世界史講義論述とグリーン(高校生)の高3世界史、水曜日が松戸校卒生の世界史講義演習、木曜日が横浜校でグリーンの高校東大論述、金曜日に立川校で卒生の世界史講義論述とグリーンの高校論述の予定です。

04年3月28日 スポーツあれこれ
 の公式戦。ザスパ草津と引き分け。JFLで今期J2を目指すことを公言しているのは、徳島と愛媛と草津、これに咋シーズン2位のホンダを加えた4チームの争いと予想。でもいたように、徳島の方がバックアップが整いつつあるようで悔しいけれど、でもやっぱり、四国初のJリーグはゆずれない。せっかくが、をやってくれたことだし。

 荒川静香、世界選手権優勝。
 最終グループでは一番初めに出てきて、最初のジャンプでいきなり参加全選手最も難易度の高い3回転−3回転−2回転のコンビネーションを成功させ、後は漆黒の衣装が象徴する凄みのある演技で押し切った。
 ほぼ完璧。
 TV中継で見てても鳥肌。観衆は魅了され、会場は騒然となり、次の演技者の出番が始まっても、まだざわついていた。
 最初にあれだけがつんとやられたら、後から滑る選手はたまんないでしょう。
 案の定、荒川と対照的な純白の衣装で出てきたSP1位のコーエンにも、ミスが出た。そういう意味では、いろいろな要素の積み重ねの上にあった優勝ではある。


04年3月27日 移動の合間に
 『金で買えるアメリカ民主主義』(グレッグ・パラスト、角川文庫、2004、単行本は2003)を読んでいる。半分程。綿密な調査に基づいて暴き出されるのは、アメリカの富裕層と政治支配層が共和党政権において一体化した腐敗の淀み。アメリカの病は、ここまで来ているのかと暗澹たる気分になる。
 
 ただ、歴史屋として言っておくと、アメリカの富裕層と政治支配層が共和党政権において一体化し、腐敗する現象は、今回が初めてではない。

 過去2回、ある。

 南北戦争後の第一次金ぴか時代。そして、第一次世界大戦後の、永遠の繁栄を謳歌した“黄金の20年代”。いずれも、工業発展が著しく、経済が飛躍的に拡大しながら、その恩恵が一部の富裕層に限られ、社会全体の所得格差が拡大した時代である。
 
 所得格差が拡大し、社会階層間の利害対立が激化する中で、腐敗した富裕層が共和党政権を通じて国民の大多数を犠牲にしつつ自己の利益の確保を図る。今回もまた、全く同じ構造が見られる。国民間の所得格差を示す数値としてジニ係数という数値があり、過去数年のアメリカのジニ係数は、アメリカ中央情報局のサイト()でも見ることが出来る。これによれば、アメリカのジニ係数は、この10年間で拡大の一途を示しているのだ。
 共和党の“極右化”の背景に、急激な所得格差の拡大があるとの見解は、実はポール・クルーグマンの、『嘘つき大統領のデタラメ経済』でも指摘されていた。
 日本でも、アメリカほど極端ではないものの、ジニ係数はジリジリと上昇しつつある。何とか今のうちに対策をこうじておかないと、アメリカ社会の諸問題は、日本問題となってわれわれを直撃するだろう。

 そして過去2回、アメリカは、この問題をある程度、自力で是正してきた。

 第一次金ピカ時代の後には、T.ローズヴェルトウィルソンに代表される革新主義の時代が到来し、腐敗をもたらした独占企業を、反トラスト法で追求した。黄金の20年代が、世界恐慌という最悪な形で破綻した後を受けたF.ローズヴェルトは、ニューディール政策を実施し、経済回復には満足な成果をあげることが出来なかったが(アメリカの急激な経済回復は、第二次世界大戦による戦争需要の出現であり、このことが現在のアメリカの戦争依存体質をもたらしてしまう)、労働者の地位向上と企業の腐敗防止に熱心で、社会の公正化には一定の成果をあげた。
 また、富裕層の腐敗や、暴力と人種差別などの社会問題が深刻な分、それに対する市民運動や、知識人・ジャーナリストの批判活動も強力である。今回も、マイケル・ムーアポール・クルーグマングレッグ・パラストと、いずれも情報分析を積み重ねた成果の上で、ブッシュ政権の腐敗を断罪する非常に“骨太”(誰かさんの好きな言葉だ)な一連の著作が積み上げられてきている。

 翻って、日本はどうか。

 日本がアメリカ社会化した時、日本の政治は、自らの腐敗をただすことができるのだろうか。政治家の娘の私生活を暴くことをもって、権力への抵抗であると自己弁護するようなレベルのジャーナリズムが、綿密な調査や情報分析に基づく、説得力に満ちた問題摘発を、その時なすことができるのだろうか。
04年3月26日 春期講習開始
 本日から4日間の春期講習。10時50分の2時限目から、横浜校で世界史論述、その後移動して、5時から駒場校で総合世界史。校舎に掲示してある各大学の合格者名に、昨年度担当していた生徒の名前を多数発見。

 みんな、合格おめでとう!

04年3月25日 西荻窪探訪
 日本史講師のと、年一回の恒例となった西荻窪探訪。

 原点を確認するのだ。

 訪れるたびに、西荻窪の街も変わっていく。駅ビルは改装され、改札を出たところにアイリッシュ・バーがオープンしていた。当時よく利用していた洋食屋さんのドアには、夫婦ともに65歳を越えたので、30年続けてきた店を閉めますという張り紙があった。

 それでも、この街を訪れると、当時の自分がよみがえる。

 十数年前の同じ時期にわれわれは西荻窪にあったみすず学苑で予備校講師を始め、この街の喫茶店や定食屋や居酒屋で飽かずに語り合っていた。授業の方法論や、将来の漠然とした夢や、国際情勢から、梅昆布茶の化学調味料の味が疲れているときにはけっこう快感なんだよね、といった身の回りの生活上の小ネタにいたるまで、何でも話題になった。当時は二人とも洒落にならないくらいビンボーだったから、1杯のコーヒーだけで茶店で何時間も粘り、居酒屋でも一人2000円までと度額を設定して飲んだ。そしてしゃべり続けることが、最大の娯楽だった。

 あの日々があったから、今でもわたくしは予備校講師を続けていられるのだと思う。
 
04年3月24日 リターンマッチ
 昼食で、昨晩の残りのビーフシチューを1時間ほどさらに煮込んだ上に、カレーのルーを加えてビーフカレーにして食す。肉がとろけるように柔らかくなっていて、美味。これこれ、これが食べたかったのさ。

04年3月23日 奮発
 近くの市場で100g126円なりの牛スネ肉を購入。ビーフシチューに挑戦。乱切りにした牛スネ肉の表面をソテーした後、肉を取り出したあとの同じ鍋でタマネギを時間をかけて炒め、肉をもどして赤ワインと缶詰のトマトでひたすら煮込む。が、あと30分ほど煮込みたいところで、匂いに食欲を刺激された次男が、どうにも我慢の限界を越えてしまい、やむなく食卓へ。それなりに仕上がってはいたけれど、やっぱり、理想として思い描いていたものよりはちょっと固め。しかも、それでも次男は喜んで食していたのだけど、このところ舌の好みが和風になっている長男が、このお肉だったら、醤油とかの味付けの方がよかった、もういらない、と言い出す始末。料理の道は厳しい。

04年3月22日 ルピナス
 午前中から3月20日発売のはずの』を求め、書店を梯子するも見つからず、午後3時を過ぎたところで、紀伊国屋の本店でやっとゲット。いや、昨日も横浜駅近辺の本屋でことごとくふられていたんだけど。どうやら、20日が土曜、21日が日曜、22日が祝日ということで、店頭に並ぶのが遅れたらしい。で、『ルピナス探偵団の当惑』、先日出た『ペニス』とはうってかわって、女子高校生3人組を中心とするキャラクター小説(って用法あってるっけ?)でもあり、本格ミステリでもある。ホント何書いても上手い。少女小説として既に発表されていたものを改稿した第一話、第二話ももちろんいいけど、新たに書き下ろされた第3話はまさに絶品。最後の一行まで仕掛けがあって、久しぶりに精緻に仕組まれたミステリを読む快感を堪能したのであった。苦労したかいがあった。

04年3月21日 横浜
 春期講習の先触れのイベント授業で横浜へ。武蔵小杉で南武線から東急東横線に乗り換え、横浜駅について戸惑った。みなと未来線の開通で、東横線の横浜駅が全く別物になってる。駅が新しくなったことで、なんだか街の印象まで変わったよう。駅は都市の顔である、ということか。分倍河原駅と府中本町駅も、もうちょっと何とかならんもんだろうか。どっちも2線乗り入れのターミナル駅なんだが。

04年3月20日 卒園式
 次男の保育園の卒園式。こま回しとか、縄跳びとか、側転とかの練習の成果を披露し、卒業証書を受けとる姿が誇らしげである。先日、抜けかかっていた上の前歯が抜け、以前からもう一本の前歯も抜けていたので、口元がほころぶと上の前歯二本が抜けてちょっとお間抜けな表情になるのだけど、親は馬鹿だからそれもかわいい。さて、卒園式も無事終了した後は、そのまま同じ保育園のホールで、父兄主催の謝恩会に移行。その出し物で、父たちによる小演劇があって、白い口髭と顎髭をつけて、帽子を被って、謎の小人のお爺さんという役を演じたとですよ。全部で2分くらいの出番で、台詞はなくて朗読にあわせて動くのみ。保育園児に笑ってもらうために、とにかくオーバーアクション。が、たったこれだけのことに、顔面蒼白胸どきどき。無事終了してほっとしました。

04年3月16日 久しぶり
 ほぼ一月半にわたって滞っていたこのページの更新作業。腰痛と花粉症は相変わらずですが、大丈夫です。生きてます。

04年3月15日 ネットのニュースをはしごしつつ
 の更新で午前と午後がつぶれる。

04年3月14日 国益を本当に考えるなら
 スペインのテロ。アルカイダの可能性高まる。犯行声明で、英米以外に名前が出ているのが、ヨーロッパ中で軽蔑の対象となっているベルルスコーニ首相のイタリアと、日本であるのが不気味。犯行声明の信憑性はともかく、イスラムの人々にそのように見られているということが、致命的。ブッシュアメリカにべったり追従の外交は、やはりきわめて稚拙であった。せめて、もっとうまく立ち回ことが出来なかったのか。アメリカの仕掛けたイラク戦争は、テロの鎮圧ではなく拡大こそをもたらすという、当時から既にあった見解を、日本の外交担当者は、全く考慮しなかったのか。国民の安全保障こそが、考えなければならない第一の前提ではなかったのか。

04年3月13日 中間団体の再生は
 小学校3年の長男は、学童保育が今年で終わり。そのお別れ会があり、午後からはドッジボール大会となった。この時点で、仲間内では長男がやたらにぎやかなお笑いキャラであることが判明。意外。夜はそのまま家族そろって“お楽しみ委員会”の打ち上げに混ぜてもらい、こういう機会でもなければ知り合うことも出来なかったろう人々との交流を楽しむ。
 今日はJリーグの開幕ということもあり、味スタにも未練はあったのだけど、結果として参加してよかった。

04年3月12日 そうだったのか!
 冬期講習の一橋大学対策講座の受講生から、合格のメールが届く。おめでとう!ところで、そのメールに「テキストの最後の付録問題集が的中しましたね」の指摘が。すっかり忘れていたので慌てて確認したところ、第3問の中国史問題が的中。しかも、これって、因縁の陳独秀(1月5日の項を参照)じゃないか。あきらめずにおまけプリントを作っておいてよかった。
 

04年3月11日 読んでください
 姜尚中宮台真司の対談集、『』(、2003年)読了。国民国家の幻想性を糾弾する姜尚中と、国民国家の幻想性を前提に、国家の操縦性にコミットすることを主張する宮台真司の立場は一見して対照的ながら(同書、宮台真司まえがき)、ふたりのあいだには強い思想的な親和力が働いており(同書、姜尚中あとがき)、ジャーナリスティックな諸問題を扱いながらも議論は深みを帯びて現在の二人の思想の全体図を見渡せるガイド的な性格も持つにいたった。対談集という形式としては、希な成功を収めた出版物ではなかろうか。お勧め。

04年3月10日 買ってください
 の『』文庫版が、双葉文庫より本日発売。わたくし如きが言うのもなんですが、傑作です。まだ入手していない人は是非。



04年3月9日 超個人的読書体験
 『』(大塚英志、講談社現代新書、2004年)読了。1958年生まれで「おたく第一世代」の大塚に対し、1963年生まれのわたくしは、先行する彼らの世代が作り出してきた文化風潮に、最も影響を受け、翻弄された世代に属するだろう。それだけに、自分の10代、20代の頃の羞恥にみちた姿を召喚させられ、悶絶するような読書体験を持った。例えば次の部分。
 
 50年代末から60年代初頭に生まれ中高生の時に24年組の洗礼を受けてしまった年代にとってこの少女まんが的な自意識は男女が共有した文化であった。だが問題なのは女性たちが成長するにつれてこういった少女まんが的な内面を諦念していくのに対し、宮台が告白したように男たちはこの仮想の少女まんが的「内面」を男であるがゆえに現実の中で葛藤することなく保ち続けていった点だ。

 痛い。痛すぎる。今でも、わたくしの「内面」の一部は、、それからと佐藤史生などなどで出来ている。情報源が限られる地方都市の、しかも中心から外れた田園地域に生まれ育ち、変に早熟なガキであったわたくしは、小学校の高学年の時に本家の法事に行った際、年長の従兄たちが所有していた少女マンガ雑誌でなど24年組のマンガと出会ってしまったのだった。

 ・・・というように、いたるところに自分で自分のための注釈を施したくなる本。

04年3月8日 四度や五度の正直では足りないらしい
 三度目の手作り餃子に挑戦。ようやく、皮を円に近い形にのばすことができるようになってきた。肉も前回の失敗を踏まえ、鶏肉ではなく豚を使用。その結果、手作りの皮はもちもちとして美味しく仕上がり、究極の餃子という野望の王国にまた一歩近づいたのであった。
 
 でも具がね、相変わらずパサパサしてんの。

04年3月7日 筋金入り庶民
 新潟の予定がつぶれたので、昭島市にある健康ランド、へ。生活クラブ生協で、格安チケットを入手していたのだった。名前を聞いたこともない、どさ廻りの演歌歌手の公演がウリのお洒落とか洗練とかとは対極にあるような雰囲気の施設ではあったが、逆にそれゆえの気安さもある。のびのび。

04年3月6日 無神論者です
 土曜日。この土日で新潟の知人宅に遊びに行く予定が、新潟方面の大雪で中止。原稿が遅れて(
いつものことだが)ここ数日、満足に睡眠時間がとれない日が続いていたので、無理はするなという天の配慮か。そういうことにしておこう。

04年3月5日 住みにくい世の中に
 テキスト会議。終了後、鳥インフルエンザだ問題だとか、中国人留学生に対する資格審査の激化だとかについて雑談。世の中に、柔らかな全体主義とでも言うべき風潮が出てきているのではないか。社会全体に余裕がなくなっているのではないか。自分たちの生活を脅かしそうなものは、とにかく排除という論理がまかり通るようになっているのではないかと言う話題が続き、いやな世の中になってきたね、と、ため息をついて終わる。

04年3月4日 密談
 東京大学と一橋大学のオープン模試のための出題検討会議。内容はもちろん秘密。

04年3月3日 リピーター希望
 長男の小学校が開校記念日で休み。この日に備えてジブリ美術館のチケットをゲットしてあったのだ。猫バスの巨大ヌイグルミや、屋上のロボット兵といった目玉に息子たちは大喜び。それ以上に驚いたのは、美術館の建物自体が仕掛けに満ちていること。来るまでは、“小さい”というイメージがあって、各地に自治体が作っている科学館のようなちゃちいものをイメージしていたけれど、密度が全然違う。これは凄いわ。

04年3月2日 事前にわかっているのにといつも思う
 3月5日のテキスト会議までに仕上げなければならない原稿があるのに、明日は長男の学校の開校記念日で家族サービス。明後日は、別の会議の日程である。そういうわけで、午前、日中、深夜とひたすら仕事。

04年3月1日 残りの問題はそんなでもないのがまた
 一橋大学の解答速報作成会議。隔年現象で近世に問題が集中。それは良いとして、昨年度の第1
問の15世紀イタリア史同様、今年度の第2問のピョートル大帝の業績は、大学入試の受験レベルを超えている。これでは対策のたてようがない。ちょっと困る。