ドガ(1834-1917)
踊り子や競馬などの動きのあるものの一瞬の姿を、逆光や人工照明の演出の下で捉えた印象派の画家。代表作に「踊り子」。晩年はモネと同様視力を弱め、パステル画を愛用して傑作を残した。モネやルノワールが若年の頃生活に苦労したのちに、成功の証として裕福な暮らしを手に入れていったのと対称的に、富裕な銀行家の子として生まれた彼は、不遇時代にも比較的恵まれた環境で製作を続けることができたが、1874年に父が負債を残して死に、加えてアメリカで事業に失敗した弟の負債も肩代わりする羽目になって経済的に苦境にたち、結局死ぬ までそこから脱却することが出来なかった。もともと鋭く激しい性格で一生妻を持たず親しい友人もほとんどいなかった彼は、訪れる絵の賛美者やインタビューの記者を手荒く追い返すなど、晩年はますます孤独の中に閉じこもって生涯を終えた。