ジェリコー(1791-1824)
縦横4.91m×7.16mの巨大な絵画「メデュース号の筏」で、フランスロマン主義絵画の出発を告げた画家。この絵は1816年におこったフランス海軍の軍船メデュース号の遭難事件に題材をとり、筏で漂流し、死んだ仲間の肉を食べて餓えをしのいでいた遭難者たちが、今まさに救出されようとしている決定的瞬間を描き出したものである。古典などに題材をとった新古典主義が支配していたフランス画壇に、この絵は激しい衝撃と賛否両論の嵐を巻き起こした。が、画家自身は33歳で落馬事故で早世し、良くも悪くもこの作品のみで記憶されることになった。