第七回 のび太くんの危険なおもちゃ〜「のび太のワンニャン時空伝」を観て〜
のび太くんは捨て犬や捨て猫たちをかわいそうに思い、しずかちゃんやスネ夫くん、ジャイアンと一緒に、ドラえもんに内緒でタイムマシンを使い、彼らを3億年前の地球に連れて行きました。自力で食料を調達出来ない彼らのために、イチという名の子犬を“進化・退化光線銃”で進化させて、“無料フード製造機”の使い方も教えてあげます。
のび太くんたちは一日中遊んだ後、翌日もこの場所に来ることをイチたちに約束して、4人だけで現代に戻ってきます。
翌日、ドラえもんを含めた5人でイチたちに会いに行きますが、タイムマシンが時空のねじれに巻き込まれて、昨日から1000年後の、進化した犬や猫たちの住む“ワンニャン国”に着いてしまいます。捨て犬や捨て猫たちは、のび太くんがうっかり忘れた“進化・退化光線銃”を使って、とても高度な文明を築いていたのです。
しかも、先祖を人間に虐待されたネコジャラという猫族の大富豪が、人間世界への復讐を企んでいました。
というわけで、この映画は、「動物を飼うときには責任と愛情をもって最後まで面倒をみましょう」という教訓を引き出せるような結末を迎えるのだが、一介の小学生たちが、地球の歴史を混乱させ、かつ現代社会を滅亡の危機に晒すような危険なふるまいに及んだというのに、それを注意するおとなは誰もいないのか。
のび太たちは、最終的には、自分のケツを自分で拭くわけだが、結果よければそれでよし、ということでもあるまい。のび太のようなこどもに“進化・退化光線銃”のような危険なおもちゃを与えてはいけない。
ドラえもんの管理責任は重い。
(評点4.5)
同時上映は「パーマン ザ★ムービー タコDEポン!アシHAポン!」。
広川太一郎のマシンガン・トークを久々に堪能。往年の冴えは感じられなかった
が、声を聴けただけでしあわせだ。
前作でも思ったのだが、「パーマン」は同時上映の短編という特性のためか、
「ドラえもん」よりかなりテンポがいいし、ユーモアも効いている。どうせ観る
なら、断然こっち。(評点6.5)
了