92年都立大
15世紀末から16世紀にかけてのいわゆる大航海時代において,ポルトガルとスペインの世界進出がその後のヨーロッパの歴史に与えた影響について,その経緯について触れながら下記の語句を用いながら400字以内で述べよ。ただしすべての語句を使用し,使用した語句には下線を引くこと
ヴァスコ=ダ=ガマ マゼラン アメリゴ=ヴェスプッチ
ゴア ジャガイモ 香辛料 銀 大西洋
ヴァスコ=ダ=ガマのインド航路(2点)
ゴアに総督府(ゴアを拠点)(2点)
コロンブスの発見(2点)
アメリゴ=ヴェスプッチ新大陸と確認(2点)
マゼランの世界周航(2点)
西回りアジア航路開拓(2点)
新奇物資流入による生活革命(2点)
国際貿易の中心が地中海から大西洋に移る商業革命(2点)
銀の流入で価格革命→固定地代に依拠する封建領主没落(2点)
商工業発展し市民層台頭(2点)
東欧は食糧供給地として西欧に従属し,農奴制強化(2点)
以上を採点の基準として20点満点
*この採点基準例以外にも題意の範囲内で採点要素があれば,適宜加点
ポルトガルは,15世紀末のヴァスコ=ダ=ガマによるインド航路の開拓後,ゴアに総督府をおき,アジア貿易によって繁栄した。一方スペインはコロンブスのサン=サルバドル島到着後,アメリゴ=ヴェスプッチの探検によりアメリカを新大陸と確認し,古代アメリカ文明を破壊して征服事業を進めた。また,マゼランがフィリピンに到達し,その部下が世界周航を達成したことで,西回りアジア航路も開拓した。こうした活動は,アジアの香辛料・茶・綿花や新大陸のじゃがいも・とうもろこし・トマトの流入による生活革命や,国際貿易の中心が地中海から大西洋に移る商業革命を引き起こした。また新大陸からの大量の銀の流入で物価が上昇した価格革命は,西欧地域で固定した地代に依拠する封建領主の没落と,商工業の発達による市民層の台頭を促した。一方東欧は西欧への食糧供給地として西欧経済に従属し,農場領主制が普及して農奴制が強化された。