モリエール(1622-1673)
ルイ14世時代の代表的喜劇作家で、代表作は『タルチェフ』『守銭奴』『人間嫌い』など。現在のコメディー=フランセーズ(フランス国立劇場)は彼の劇団に始まる。王室に関係する富裕な商人を父とし、その跡を継ぐ筈であったが、女擾マドレーヌ=ベジャールに恋して芝居の世界に飛び込み、マドレーヌの兄弟姉妹と〈盛名座〉を結成。自ら俳優として舞台に立つ。しかし不入りで2年ともたず破産。負債を払えず、一時は監獄に放りこまれるなど散々な目にあった。パリを逃れて地方まわりの劇団として再出発。再びパリに戻って名声を確立したのはようやく15年の後である。その作品は笑いの中に鋭い風刺を盛り込んだもので、例えば『タルチェフ』は一人の偽善者の姿を通じて、当時社会に大きな勢力を占めていたイエズス会に痛烈な攻撃を加えたものである。53歳の時に自作の舞台に出演中、発作におそわれ、舞台を終えると同時に喀血して死ぬという、演劇人としての生涯を全うした。